
「上司に少し注意されただけで、『私は本当にダメな人間だ、もうこの会社にはいられない』と極端に落ち込んでしまいます…」

医師
「それはあなたがダメな人間だからではなく、考え方の『クセ』が原因かもしれません。色眼鏡を外すように、そのクセに気づくための手法が『認知行動療法』です」
私たちは日々、様々な出来事に遭遇して感情を抱きますが、実は「出来事」が直接「感情」を引き起こしているわけではありません。 出来事と感情の間には、必ず「自分がそれをどう受け取ったか(認知)」というフィルターが存在します。
今回は、気分の落ち込みを改善し、自分自身で感情をコントロールするための手法「認知行動療法」の基本と、代表的な「認知のゆがみ」について解説します。
感情の裏にある「認知のゆがみ」とは?
気分がひどく落ち込んでいるとき、私たちの頭の中には不合理でマイナスな考え(認知のゆがみ)が浮かんでいます。 以下のような考え方に心当たりはありませんか?
- 全か無か思考(白黒思考) 少しでもミスがあると「完全に失敗した」「自分は無価値だ」と白か黒の両極端で考えてしまう思考法です。
- 一般化のしすぎ たった1つ良くないことが起きただけで、「いつもこうだ」「世の中すべてがうまくいかない」と極端な結論を出してしまいます。
- 心のフィルター 良い出来事や褒められたことは無視してしまい、たった1つの悪いことばかりにこだわって、現実を見る目が暗くなってしまう状態です。
うつうつとした気分の悪さは、あなたが弱いから起こるのではなく、こうした歪んだマイナスの考え方からきています。
ゆがみを正す「コラム法(思考記録表)」
このような考え方のクセに気づき、バランスの取れた考え方に修正していくのが認知行動療法のアプローチです。 最も簡単で効果的なのが、頭の中だけで悩まず、紙に書き出すことです。
- STEP 1嫌な気分になった「出来事」を書く
例:上司に注意された
- STEP 2その時頭に浮かんだ「自動思考」を書く
例:私は本当にダメな人間だ
- STEP 3それは事実か?別の見方はできないか「反証」を書く
例:今回はミスをしたけれど、先週は褒められた。ダメな人間というのは極端すぎる
このように書き出すだけで、自分の気持ちの問題を「見える化」することができ、心がずっと軽くなります。
まとめ:自分を責めるのをやめよう
自分の考え方のクセを知ることは、メンタルを守るための強力な武器になります。 まずは「あ、今また極端に考えていたな」「これは白黒思考だ」と気づくところから始めてみませんか?
参考書籍
『こころが晴れるノート うつと不安の認知療法自習帳』
- 著者: 大野 裕
- 出版社: 創元社
- URL: https://amzn.to/3TQ4wWC
- ポイント: 認知療法を手軽に学べるように工夫されたハンディなセルフワークブックです。コンパクトなつくりで図表やイラストが多く、自分の気持ちを言葉にして「見える化」する練習に最適です。
『いやな気分よ、さようなら コンパクト版 自分で学ぶ「抑うつ」克服法』
- 著者: デビッド・D・バーンズ(野村総一郎 訳者代表)
- 出版社: 星和書店
- URL: https://amzn.to/4gA3PJK
- ポイント: 英語版で300万部以上売れ、「うつ病」のバイブルと言われている大著のコンパクト版です。10種類の「認知のゆがみ」の定義や、自分でできる感情調整技術が非常に詳しく解説されており、根本的な解決を目指す人におすすめです。
